合宿調査in2005

霧穴合宿はさまざまな試行錯誤を経て、進化してきました。霧穴という場所と、探検調査という目的は変わらないので、大まかなあらすじも変わりありませんが、メンバーの移り変わりとともに少しずつ変化してきたところをご紹介します。


2005/12/30 霧穴合宿 全日程・前半参加者

霧穴合宿の準備は、参加者だけでなくJETメンバーの有志が集まって行います。
装備や合宿スケジュール、食糧計画を事前に検討し、出発直前で不足するものがないように準備します。
これらの計画は、霧穴合宿計画書としてまとめ、JETメンバーに配布します。重要なレスキュー時の計画も掲載するので、参加しないメンバーにも配布しています。
合宿と一口に言っても、洞内泊が長く続く場合は特に、その準備が全体の大きな要素を占めていると言えます。


JET事務局は、合宿の一週間前ほどから荷物で足の踏み場がないくらいです。
出発前日には、参加者が全員集まり、食糧のパッキングをし、仕上げます。

パッキングが完了したら、すべての荷物の重さを量って記録します。

大量に必要な食料は業務用スーパーで仕入れます。これはCOMOと言うメーカーのクロワッサンで、美味しくて無添加、長期保存が可能です。
パッキングにはPVCバック以外にも、プラスチックの防水ケースを使用します。密閉性が強く、丈夫なので大変重宝しています。


洞内の厳しい環境で、濡れたり破損したりするのを避けるため、パンや米などは防水ケースに入れますが、入れ方も工夫しないと破損は免れません。
パッキングの仕上げは、車への積みこみです。霧穴合宿に参加する車は、キャリアーの装着が必須です。

最終パッキングの日、みんなでJET御用達の和食の店でランチです♪
これから一週間は穴の中。こんな喜びともおサラバです…。

合宿の出発はいつも深夜です。
寒い中、最後の荷物を車に積みこみ、忘れ物をチェックして出発!
けれども、なぜかいつも近所のコンビニなどに立ち寄って、予定外の時間を費やしてしまいます。
コンビニにいると、ふと忘れ物を思い出して、またJET事務局に戻ったり…。

JET事務局から霧穴アプローチのスタート地点までは、車で3時間程度。
車中では、参加者はそれぞれ、眠りにおちたり、メンバーとおしゃべりしたりしてすごします。もう霧穴はすぐそこです。いまさらじたばたしても仕方ないのです。
朝日が昇り始めようとするころ、林道の終点。すなわち、霧穴アプローチのスタート地点に到着します。

車から荷物を降ろして、背負子にまとめます。背負子は参加する人数の数だけ必要になります。
パッキング時の記録を元に、それぞれの荷物の重さを確認しながら、各背負子の重さが均等になるようにまとめていきます。

荷物が均等になるように気をつけていても、少しずつ違いができてしまいます。そして、毎回必ず1つか2つはバカみたいに重い背負子ができてしまいます。
人数分の背負子がきれいにまとまったら、恒例のじゃんけんで誰がどの荷物を背負うかを決めていきます。
じゃんけんは老若男女の差を越えた、
冷徹に平等な勝負の手段である。

じゃ〜んけ〜ん ほいっ!
(写真は内容とは関係ありません)

勝った人から…
好きな重さを選べます。

渋ってなかなか背負う気配がない人も…。
さっさと出発してしまったほうが、背負う時間が少なくて済みます。


荷物がなければ、らくらく30分程度の山道なのに…。
そうは言っても、荷物はなくなりませんから、一歩一歩を確実に歩いて行きます。
初めての人には永遠に思えるような、長い道のりです。
普通なら防寒着を着ていても寒いくらいの季節ですが、荷物を背負って山を歩くと、すぐに熱くなってきます。

考えることは、早く洞口に到着したい。それだけです。
洞口に到着すると、ほっとします。
しかし、じっとしているとすぐに寒くなります。

今度は、早く入洞したいと、そればかりを考えて待ちます。洞窟の中は外よりも10度近く暖かいのです。

入洞、測量については2004までの合宿調査とほとんど同様です。
インターホンによる洞内外との連絡も、さまざまに改善を加えてはいますが、今後も引き続き使っていく予定です。

2005年の合宿では、洞内記載・ビデオ撮影・登攀・ディギング・ABC整備とさまざまな活動を実施しました。
洞内記載

洞内記載は、洞窟の内部を図面ではなく、文章で書き表すものです。
2005年は、これまで資料として欠けていた部分を、手分けして実施しました。
ビデオ撮影

過酷な環境の洞窟の中では、繊細な機械を使用するビデオ撮影は困難ですが、動画でしか表現できない迫力を伝えることができます。

ビデオ撮影の得意な隊員が、オリジナルの洞窟用ハウジングをオーダーメイドして、洞内の環境に耐えるカメラを研究しています。
ロープを使って下降する際にも、邪魔にならないように設計しています。

8kgほどの重さなので、狭洞での受け渡しは大変です。
ビデオカメラ、ライトはどちらもバッテリーがなければ動作しませんが、洞内には電源がありません。
2005年は洞口に発電機を置き、毎日SRTで洞口まで出て、充電することが日課になりました。
ビデオカメラのメンテナンスも洞外に出てから行いました。
人工登攀

手の届く範囲の探検に限界が見えてきたとき、次は上へ進むしかなくなります。

光量の強いライトの登場によって、新たな登攀ポイントを確認するたびに登った先がどうなっているかを確かめるためにアンカーを打ち、進みます。
(詳しくはメインメニューの「人工登攀」を見てね!)
人工登攀では、ビレイヤーの技術も大切な要素です。
落石などの危険にさらされながらも、登る人が安心して登れるように、息を合わせながら、安全を確保しなければなりません。
ディギング

ディギングとは、掘ること。
石や泥や砂で埋まっている洞窟の行く先を確かめるために、ひたすら掘つづける、地味な作業ですが、崩落など危険な要素が強いです。

危険なディギングの場合、最前線は、ある程度の危険予測ができる経験者が好ましいです。
先頭の人が掘った石や土を、邪魔にならない場所に移動させる人が複数名必要になります。

ディギングの途中。
どの石も不安定で非常に危険です。
この場所は逃げ場もなく、あまりに危険だったので、いったん諦めました。
ABC整備

実はみんなが探検の次に好きな仕事。
ベースキャンプを快適にするため、毎年少しずつ工事を進めています。

ABC設営場所は、何度か整備をして4〜5人は快適にすごせる場所でしたが、2005年はもっと大人数ですごせるようにさらに改善しました。

まず、ABCの中心にあった大きな岩を端に寄せました。全員で力を合わせて、やっと少しずつ動かしました。

地面の傾斜が高いほうを掘り返して、低いほうへ土砂を移動させました。
崩れそうな堆積物の棚はわざと崩して、物を置けるように整えました。
土砂を移すときは、鍋を利用しました。高いところにある土砂を鍋に入れて…。
低いところへ持って行って、土砂を撒きます。
鍋っていろんな用途に使えますね。

水平にこだわる隊長が、最後に仕上げの地ならしをします。小石なども除去すると快適さが増します。

霧穴での活動は、一年のうちでも本当に少ない日数です。しかし、穴の中という極端な世界なので、できるだけ快適に効率よく調査が進められるようにさまざまな改良を進めています。2005年の改良ポイントをご紹介します。
整理整頓

いろんな人間が集まっての合宿なので、装備などが混ざり合ってしまいがちです。何をどこに置くか決めて、活動の準備がスムーズに進むようにしました。
食糧の置き場所が曖昧だったので、食材管理用のネットを持参しました。お茶やチーズ、ハムなどこまごまとしたものはネットに入れて管理しました。
後ろに見えているのは、パン・米・うどんなどのメイン食材。
野菜などは調理場の近くに並べています。
青柳ランタン

2003年度の調査で、青柳隊員がはじめて持参したフォールディングランタン。家庭用カセットガスを使用するそのランタンをメンバー一同、甘く見ていたが、その明るさとガスの経済性に負けて、今年は2台を新規購入しました。
メーカーの新富士バーナーさんはいつも親切な対応で、好感度高いです。

最後に毎年恒例ですが、必死の撤収作業を紹介します。
「家に帰るまでが遠足ですよ!」とはよく言ったもので、「家に帰るまでが探検」です。
ABCを片付けてから、荷物リレーで出洞。山を降り、冷たい川の水で装備を洗い、3時間の道のりを運転して帰り、JET事務局に戻ってからは装備の乾燥と片付けが待っています。
そんな撤収作業をする中で、だんだんと日常に帰っていきます。

ABCの撤収。
荷物を減らすために、厳選したものをベースに残して行きます。残したものはメモしておきます(が、毎年失くしてしまう…)。
これから始まるのは、決死の荷物リレー。

狭いところで重い荷物を受け渡すのは重要労です!

必死です。まじです。
やっとSRTの登り口に到着。
40m上の地上まで、荷物をたくさん持って登るので一人30分から1時間かかります。
1度に一人ずつしか登れないので、最後に登る人は何時間も待ち続けることになります。

荷物の受け渡しで疲れているので、始めはゆっくりできるのが嬉しいのですが、ずっと待っていると寒くなってきて辛いです。


そして、自分の順番が来たら、ひたすら登る…

外界は雪景色です!
明るい太陽!爽やかな空気!寒い!
「飯どおする?」
「温泉に寄りたい!」
「それより早く帰りてぇよ!」
好き勝手を言いながら、川で装備を洗います。みんな淡々と仕事を進めます。
こうして、今年も無事に合宿調査を完了しました。
また帰ってくると、また新たな改良を目指して、準備を進めます。
行くことが目的なのか、目的があるから行くのか、わからなくなってきちゃいます。


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-Japan Exploration Team-