J. E. T 活 動 記 録
2005年 3月 6日記

活動名 第8回近江カルスト自然史調査
活動内容 生物・古生物調査、写真撮影
入洞洞窟 多和田の風穴
場 所 滋賀県彦根市近江町多和田
日 程 2005/3/6
参加者 稲垣、鈴木、山田、阿部(博物館より)、近野
使用車両 ハイエース(エスパー号)、山田(鉄道)
会 計 ハイエース(計7100円/一宮〜米原1450円+彦根〜一宮1650円+ガス4000円)
博物館より報償(計26,140円)から交通費を出す。
※山田(鉄道)は交通費も含めて全額JETに寄付
昨年より続いて、多賀町立博物館よりの依頼で、近江カルストの洞窟調査を実施。
3月中に3つの洞窟を調査する予定の、今回はひとつめ。関西の学生たちがレスキュー訓練などでよく行くという、「多和田の風穴」にて調査を実施。

朝8時にJR醒ヶ井駅駐車場集合。山田は彦根駅から阿部さんにピックアップされる。
立命の門田くんから教えてもらった行程で、多和田の集落まで行く。大宝神社横の道からかぶと山登山道へ進むらしいが、地元のお祭り?らしく神社で大きな焚き火を焚いていて、人も多いので、地元の方に聞いて多和田公民館の駐車場に車を停めさせてもらう。
駐車場で、着替えと簡単な打ち合わせ。当初は、測量も予定していたが、測量図がすでにあるので、測量は中止とした。
公民館にいた地元の方に多和田の風穴を尋ねると、目前に見えている山の登山道をまっすぐ登ればよいと教えてもらった。
言われたとおりの登山口から登り始めたが、立命の門田くんから聞いていた登山口ではないようだ。しばらく登ると、かぶと山登山道のガイドマップが看板になっていて、登山口は二つあってぐるっと周遊するかたちになっていることがわかった。私たちは反対側の登山口から登ったようだ。多和田の風穴も、ガイドマップに大きく書かれていて、周遊する登山道が合流する山頂近くにあった。登山道は遊歩道と呼べるほど整備されていて、天気もよいので気持ちよく歩けたが、稲垣氏は歩き始めて30秒でグロッキーに陥っていた様子だった。
20〜30分ほどで洞口着。洞口付近に近づくまで、まったく石灰が出てこなかった。

洞口は2〜3mどかんと空いている。洞口前に立派な概念図と説明文が書かれた看板が立っている。それによると第一ピッチはまっすぐ素直に下降できるようだ。北側にある木からナチュラルアンカーをとって下降した(チカノ)。第一ピッチの洞床は、洞口から落ち込んだ枯葉や表土が堆積している。落ち込みが頻繁に起きるらしく、洞外生物のダニ、ヒメフナムシ、ミミズ、ヒキガエル、ムカデが多く見られた。しかし、降下地点は踏み固められて土がしまっており、生物相が貧弱であった。降下地点を外れると土壌に10〜50cmの石灰岩を含み、スズカトゲトビムシが増えた。ガロアムシが非常に多く見られ、3名(稲垣、鈴木、阿部)で20頭ほど目撃した。そのうち、2頭が20mmオーバーで、1頭を採取した。カエルが数十匹いたらしい。

第一ピッチの洞床から南北に竪穴が続いている。北の竪穴から先に下降した。トレンチ状に続く支洞で天井はずっと同じ高さ。、学生のレスキュー訓練の後か、アンカーがやたらたくさん打ってある。チカノがナットを忘れたので、危なそうなリングボルトを使って、約6mを下降。続いて、山田が下降した。下降するとき、正面に見える壁にキクガシラコウモリが1頭見えた。下降地点にある空間の西側壁面にも、6〜7頭のキクガシラ?。空間を塞いで2つに区切っている2x2mほどの落盤の横をすり抜けると、やはり西側壁面に10頭くらいのコウモリ。頭が見えていたし、少し小柄だったので、コキクガシラコウモリだと思ったが、すぐにいなくなってしまった。下降地点から5mほど北方向に支洞が続いているように見えるが、ホールドの少ない3mの壁に阻まれて進めない。立命?がセットしたコードテクニックの細引きがあるが、コードテクニックを詳しく知らないし、他人がセットしたものをむやみに触れないので、その先を進むことはあきらめる。山田、チカノで昼食を食べたり、写真撮影をしたりしていると、鈴木・稲垣が下降してきて、生物観察をしていたが、すぐに登り返してしまった。北側の竪穴の洞床にあったのは古いコウモリグアノで生物相は貧弱だったようだ。壁面にカマドウマとホラヒメグモを確認した。

南側の竪穴へ行くには、狭い入り口を通らなければならない。稲垣はなんとかハーネスを着けて通過したが帰りはハーネスを外した。鈴木・阿部ははじめからハーネスを外した。チカノはディッセンダーとカラビナ類を外して通過。山田はフル装備着けたままでスルリと通った。
入り口を入るとすぐに約3mほどの竪穴。約1.5名以外はノーザイルで下降。竪穴の縁に堆積していた土砂にモグラやネズミの骨が多く埋まっているところがあり、ボーンベットと呼べるかどうかで阿部・稲垣が少し話しをした。(呼べる、という結果)この穴はモグラが多いようだった。(なぜ?)
天井には、コウモリの越冬の跡があった。北側の竪穴の天井にもあったが、南側の越冬の跡は黒い層が非常に古いらしく、洞窟ができた後にコウモリが越冬の跡を残しその後再度洞窟の壁面が溶蝕を受けたようで、コウモリの越冬時に成分が変化した部分が溶け残っていた。溶け残りは、厚いところで40mmほどになっていた。また、その越冬跡の真下、竪穴を降りた洞床に近い壁面にも黒いドリップストーン(つらら石筍・石柱・フローストーン)が見られたが、天井の溶けた成分の再結晶だろうか?
コウモリの越冬跡がある竪穴とは別に、北西向きに狭い竪穴がもうひとつあって、こちらの洞床にはウサギの骨が半個体分くらい(頭骨・アゴはない)まとまって見つかった(鈴木・山田)。

気がつくと3時くらいになっていたので、順次出洞した。生物・古生物好きのメンバーが集まったので、床に張り付いてはしゃぐうちに時間が過ぎてしまい、測量は中止して正解だったかも。出洞してもまだ日が明るく、かぶと山の登山道から琵琶湖と竹島が大きく見えた。竹島は琵琶湖に浮かぶ彦根の島らしい。

駐車場に戻って、着替え終わると5時近かったと思う。山田は遠方のため、先に帰ることになり、エスパー号で米原駅に送り、その後博物館へ。阿部・稲垣は先に博物館へ戻り、採集物の整理にかかる。
博物館で、エスパーがテレスコマイクロスコープ(だっけ?)という優れもののレンズを装着したデジカメを取り出し、小さくて撮影の難しいカニムシを接写してみせてくれた。カニムシの写真は早速彼のホームページにアップされた。
採集物の整理も楽しく、みんな静かに楽しむうちに時間が過ぎ、8時になろうとしていた。エスパーは6時半に帰るつもりだったので焦り出し、整理も一段落ついたので帰ることになった。エスパーは体調が悪いと言って往復の車でぐったり寝ていたが洞窟の中では元気だった。運転をしたくない口実か?と疑いながらも一宮のJETバーに帰りついた。
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この日のヒゲトピックス
●ガロアムシの大きな個体2頭目撃。うち一頭採取。体長25mmで、図鑑のオオガロアムシと一致。

●第一ピッチ洞床の採集生物
・稲垣
スズカトゲトビムシ、トビムシの一種(コメツブ)、ガロアムシ、ホラヒメグモ(雌雄各1)、ヤスデ(リュウガヤスデ)
・エスパー
ムカデの一種
・阿部さん
ガロアムシ、カニムシ
多和田公民館の前で簡単な打ち合わせ 登山道は整備されて天気もよく心地よい 洞口には立派な看板が立っている どがんと口を開けた洞口 下降地点の北側から洞口を見上げて
下降地点の南側から。第一ピッチは約17m 洞床で冬眠していた、アズマヒキガエルと不明カエル。カエルは目の色で種類を同定するそうだ 北側の竪穴。山田の左にコウモリ越冬跡 左と同じコウモリ越冬跡
ボックスワーク。周辺にはバーミキューレーション コウモリのひっかき跡 下方に2x2mの落盤。立命?のコードが残る 南側の竪穴へ。入り口は狭い 南側の竪穴。天井にコウモリ越冬跡
天井のコウモリ越冬跡。溶け具合がうまく撮れず。すみません。 洞床の黒いドリップストーン 洞口を南側から見上げて
記入者 稲垣(生物)・近野(撮影・文まとめ)

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